弁護士による相続・遺産分割の法律相談 | 弁護士 佐野太一朗

遺産分割協議

家族が亡くなり、自分が相続人となったら、ご兄弟など他の相続人と「遺産分割」という手続きをすることになります。

皆さんは、遺産分割でトラブルになるのは資産家だけだと思っていないでしょうか。残念ながら、遺産が少ないほうが揉めやすく、仲の良い家族でも険悪になってしまうことが多いのです。
相続を期に、「自分のほうが額が少ない」、「自分のほうが面倒を見ていたのに」といった蓄積されていた感情的鬱憤や不満が噴出してしまうからです。

そこでこの記事では、遺産分割をスムーズに進めるために知っておくべき基礎知識を解説します。これから遺産分割をされる方・協議中の方は、ぜひ参考にしてください。

1.遺産分割とは

遺産分割とは、被相続人(亡くなった方)の財産を、遺言や相続人同士の話し合いによって分配することです。

被相続人が残した財産は、一旦は相続人全員の共有財産となります。
その後、遺言があれば遺言に従って、遺言がなければ「遺産分割協議」という話し合いによって、各相続人に具体的に分配されることとなります。

まずは遺産分割全体の簡単な流れからご紹介していきます。

2.遺産分割の事前準備

遺産分割の手続き全体を大きく分けると、3つの事前準備と、遺産分割協議、遺産分割協議書の作成の、合計5段階があります。

  1. 遺言書の有無を確認
  2. 相続財産を調査
  3. 相続人を調査
  4. 遺産分割協議
  5. 遺産分割協議書の作成

1~3は事前準備、4が具体的な協議、5で結果を記録する契約書のようなものを作成します。
協議はもちろんですが、事前準備も怠らないように気をつけてください。事前準備をしっかり行うことでトラブルを回避できることも多いからです。

そこで、まずは3つの事前準備を確認しておきましょう。

2-1.遺産分割の準備①|遺言の確認

被相続人の方が生前に遺言書を作成していた場合、財産の相続はその遺言書に従うことが原則とされています。
そのため、遺産分割の際は、まず最初に遺言書を探すことが大切です。

自筆証書遺言は、被相続人が使用していた机の引き出しや、棚、箪笥の中などに保管されているケースが多いので、探してみましょう。

また、公正証書遺言を作成されていた場合には、公証役場に申請することで遺言書を検索することができます。
2020年7月10日から法務局で遺言の保管が可能になるため、それ以降は法務局にも確認してみてください。

なお、相続人全員が合意すれば遺言と異なる遺産分割もできます。

2-2.遺産分割の準備②|相続財産の調査

どのような相続財産があるか分からなくては、分配も決められません。不動産の評価額の確認も必要です。また、相続人の知らない借金があることもあるため、しっかり確認しましょう。
ここでは、主な相続財産の調べ方をご説明します。

資料を調べる

まずは財産関係の資料を探すことから始めましょう。
例えば、預貯金通帳や証書、不動産の権利証などがこれにあたります。借用証や連帯保証人となっている契約書が見つかることもあります。
通常、被相続人の自宅や、銀行の貸金庫に保管されています。

郵便物を調べる

通帳などの直接的な資料だけで分からない場合、郵便物の調査も役に立ちます。
不動産を所有している場合は、固定資産税の納付書が郵送で送られていますし、借金や滞納があれば督促状が届いているかもしれません。
また、銀行や証券会社などからの郵便物からも、どこの金融機関に口座があるかが分かります。

ネット取引を調べる

最近ではネットバンクやネット証券を利用されている方も多いため、インターネット上での取引や口座がないかどうか調べることも大切です。
これらは、口座開設時の確認書類や、取引のメールなどを調べると分かります。
ネットバンクやネット証券を利用されていたことが分かった場合、相続人の方には残高や利用履歴を問い合わせる権利がありますので、その銀行・証券会社に連絡してみましょう。

2-3.遺産分割の準備③|相続人の調査

相続人が誰なのか、ということも確認が必要です。
下でご説明しますが、遺産分割協議は相続人全員の参加が必要です。仮に1人でも相続人が欠けた状態で協議しても全て無効となり、最初からやり直しになってしまいます。
そのため、遺産分割協議を行う前提として、相続人を調査し、確認する必要があります。

具体的な調査方法としては、被相続人が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本と除籍謄本、改正原戸籍謄本を取得し、被相続人の親族関係を確認する必要があります。
被相続人に離婚歴があり、相続人にあたる子供がいたことが後から判明したというケースも珍しくありません。きちんと前述した書類で確認するようにしましょう。

3.遺産分割協議と遺産分割協議書の作成

3-1.遺産分割協議

遺産分割協議とは

ここまでで事前準備と確認が完了したら、相続人全員で遺産分割協議という話し合いを進めます(遺言で全財産について指定されている場合は、協議は不要です)。
遺言で包括遺贈というものを受けた人や、相続分を譲り受けた人も参加します。

話し合いといっても形式は決められていません。対面の他、メールや電話、FAX、手紙でも大丈夫です。
ただ、手紙では時間がかかってしまいますし、メールでもお互い勘違いが生じてしまうことはあります。
相続人同士が遠方に住んでいて集まれない、という場合は仕方ありませんが、可能な限り全員が集まって話し合ったほうが良いでしょう。

遺産分割協議でやること

遺産分割協議では、どの遺産を誰が相続するか、預金をどう分けるか、不動産をどうするかなど、具体的な遺産の分け方を決めていきます。
皆さんもそのイメージがある通り、この分け方を決める段階が最も揉めやすく、一番デリケートなプロセスです。やはりそれぞれの相続人にそれぞれの想いがあるため、どうしても譲れない部分があります。

もし自分たちで分割するのが難しい、気まずいといった場合は、この協議をする段階から弁護士に依頼することをおすすめします。
心理的にはもちろん、時間的にも楽になり、負担が軽くなります。

3-2.遺産分割協議書の作成

遺産分割協議によって相続人全員が納得のできる内容でまとまった場合、「遺産分割協議書」を作成します。

遺産分割協議書は、不動産の相続登記や、被相続人名義の銀行口座の名義変更または解約など、様々な手続きで必要になります。「親族間で契約書のようなものを作るのは…。」と気が引けるかもしれませんが、今後の手続きのためにとても大事な書類です。
後々トラブルとなることがないよう、必ず作成するようにしましょう。

遺産分割協議に電話や手紙・メールなどによって参加した相続人がいた場合も、遺産分割協議書には必ず相続人全員が署名・押印しなければいけません。

遺産分割協議書は自分でも作れます。
ひな形や書き方はこちらの記事をお読みください。

4.遺産分割の3つの方法

遺産分割には、現物分割・換価分割・代償分割という3つの方法があります。

分け方にはそれぞれ長所と短所があるため、遺産の種類や相続人の状況などによって、どの方法が適しているのかが異なります。
適切な遺産分割の方法を選ぶことができるよう、3つの方法の特徴をよく把握しておく必要があります。

遺産分割の方法について、詳細はこちらの記事をお読みください。

5.遺産分割で多いトラブルと注意点

家族親族が仲の良いまま相続を終えるのが一番ですが、残念ながら揉めごとになってしまうことが非常に多いのが現実です。
よくあるトラブルや注意点について、相続人関係と財産関係の2つに分けてご紹介しますので、ご自分の相続で揉めないよう、参考にしてください。

5-1.相続人関係のトラブル

前妻の子供や認知した子供がいる

前妻との子どもや、認知した子どもがいることによるトラブルが少なくありません。
相続開始後に初めて判明した場合には、相続人同士に交流がないことがほとんどで、意見の対立による相続争いが起こりやすくなってしまいます。

このようなトラブルを防ぐため、事前の相続人調査をしっかりと行いましょう。

被相続人に子供がいない

子供がいないと相続トラブルは起こりにくいと思われがちですが、意外と相続争いが起こりやすいのです。
被相続人に子どもがいないと、配偶者と親が相続をすることになります。もともと配偶者と親との間で嫁姑問題などがあった場合は、相続でもトラブルとなってしまう場合が多くあります。

未成年がいると利益相反の可能性がある

相続人の中に未成年者がいて、その親も相続人の場合、利益相反という状態になってしまいます。そのため、未成年者の特別代理人という人を選任しなくてはなりません。

また認知症などによって遺産分割協議を進めるだけの判断能力が無い方が相続人の中にいる場合には、成年後見の申立を行い、後見人を選任しなくてはなりません。

5-2.財産関係のトラブル

不動産の分割で揉める

遺産に不動産があると、やはりトラブルになりやすい傾向があります。
分割しにくいということもありますが、被相続人との思い出の実家が欲しかったり、そもそも不動産を貰わないと生活できないという相続人もいるからです。
不動産の財産的価値と、それぞれの感情が入り混じり、どうしようもなくなってしまうことも少なくありません。

自分たちだけでの解決が難しいと思ったら、早めに弁護士に相談しましょう。

寄与分で揉める

寄与分とは、相続人が相続財産の維持・増加のために無償で貢献をしていたときに、相続分に加えて「寄与分」を貰える制度です(民法904条の2第1項)。
典型的には、被相続人(個人事業主)の事業を手伝っていた場合や、長年に渡って介護・看護していた場合などです。

相続人の一部が、被相続人らと共同生活をしていた場合などは、一方で「介護・看護で貢献していた」、他方で「その分、孫の養育費などで便宜を受けていたはずだ」などと、お互いの主張が錯綜するケースが少なくありません。

なお、民法改正により、相続人以外の親族でも特別寄与料を請求できるようになりました。

特別受益で揉める

特別受益とは、生前贈与や遺贈などで、特定の相続人が被相続人から受けた特別な財産上の利益のことです。
特別受益を受けた人は良いですが、それ以外の相続人からすれば、「あの時に沢山もらっていた」という話になり、遺産分割の際に揉めるきっかけとなります。

特別受益になるのはどういう場合か、遺産分割のときにどう扱われるのか、詳しくは下記の記事でご説明しています。

強権的な主張・遺産の使い込みで揉める

例えば、長男が強い家で、不動産も預金も全部貰うと主張したり、そのような協議書を作って「サインと印鑑だけ押せばいい」と一方的に迫ってくることがあります。
極端な場合、他の相続人の同意を得ずに遺産の実家をリフォームしたり、預金等を使い込んだりしていることもあります。

このような強権的な主張や、勝手な使い込みがあると、説得や協議ではなかなかまとまりません。やはり長く続くトラブルになってしまいます。

6.遺産分割協議に失敗したら?

スムーズに遺産分割が進めば、先に見た遺産分割協議書作成までで一般的な遺産分割は終わりです。
ただ、色々手を尽くしても、当事者だけでは協議がまとまらないこともあります。

その場合には、裁判所での手続きを利用して遺産分割する方法もあります。具体的には、「遺産分割調停」と「遺産分割審判」の2つです。
弁護士に相談されるのがおすすめですが、自分で行うこともできます。

詳しくはこちらの記事でご説明しています。

7.遺産分割のまとめ

遺産分割のトラブルは、弁護士に相談することにより

  • 相続財産や相続人の調査と確認をしてもらえる
  • 遺産をどのように分けるのが適切なのか判断してもらえる
  • 相続人同士の話し合いを委任でき、直接話す必要がなくなる

など多くのメリットがあり、早期に解決する場合がほとんどです。
遺産分割で悩まれている方は、一度弁護士に相談されることをオススメします。

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