弁護士による刑事事件の法律相談 | オリエンタル法律事務所

脅迫

1、脅迫とは

そもそも「脅迫」はどのようなケースで成立するのでしょうか? 脅迫の定義を確かめましょう。

①脅迫の定義

刑法によって処罰される「脅迫」とは、「他人に害悪を加えることを告知すること」です。このうち、ここで説明する脅迫罪や強要罪になるのは、相手や相手の親族の「生命」「身体」「自由」「名誉」「財産」に危害を及ぼすことを告げた場合です。

たとえば、以下のようなケースで脅迫罪が成立します。

脅迫罪が成立する例
  • 「殺すぞ」と言った(生命)
  • 「殴るぞ」と言った(身体)
  • 「帰さない」「子どもをさらうぞ」と言った(自由)
  • 「不倫をばらすぞ」「前科をばらすぞ」と言った(名誉)
  • 「出火お見舞い申し上げます。火の元ご用心」など暗に放火を示したはがきを送る(財産)

②「訴えてやる!」は脅迫になる?

トラブルになると、相手に対して「訴えてやる!」と言うことがありますが、そのようなケースでも脅迫罪となるのでしょうか?
「訴えてやる!」というのは「裁判を起こすぞ」「警察に告訴するぞ」という意味です。裁判を起こしたり警察に訴えたりする権利は国民に認められている正当なものですから、脅迫罪にはならないように思えます。

しかし、正当な権利行使を内容とするものであっても、それを告げることによって相手を畏怖(いふ)させるような場合には脅迫罪が成立すると考えられています。
そこで、実際には訴える気もないのに、相手を畏怖させるためだけに「訴えるぞ」「刑事告訴するぞ」などと告げた場合、脅迫罪となってしまう可能性があります。

2、脅迫により問われる罪や罰則

脅迫をしてしまった場合、どのような罪が成立してどの程度の罰則が適用されるのでしょうか?

①脅迫罪

相手を脅迫すると、脅迫罪が成立します。
脅迫罪は、相手に対して害悪を告知した時点で既遂になるので、未遂罪はありません。また実際に相手が畏怖したかどうかも関係なく、害悪を告げただけで犯罪となります。
脅迫罪の刑罰は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑です(刑法222条)。

②強要罪

脅迫行為によって、強要罪が成立することもあります。
強要罪は、他人を「脅迫」することにより、義務のないことを無理やりさせたり権利行使を妨害したりする犯罪です。
脅迫罪と強要罪の違いは、単純に脅迫しただけであれば脅迫罪となり、脅迫を手段として義務のないことをさせたり権利行使をさせなかったりしたら強要罪になる、ということです。

たとえば、相手を脅して土下座させたり、「私が悪かったです」と書かれたプラカードを持って街中を歩かせたり、無理やり契約書や謝罪文等の書面を書かせたりすると、強要罪が成立します。
強要罪には脅迫罪とは違って未遂罪があり、脅迫をしても相手が命令した通りの行動をとらなければ強要未遂罪となります。
刑罰も脅迫罪のものより重く、3年以下の懲役刑です(刑法223条)。

③その他の罪

刑法では、脅迫罪や強要罪以外にも、脅迫行為を手段として定めている罪が多数存在しています。 たとえば、他人の財産を奪うために脅迫をすれば恐喝罪や強盗罪が成立する可能性がありますし、わいせつ目的で脅迫をすれば強制わいせつ罪や強制性交等罪が成立する可能性があります。

3、脅迫で前科をつけないためには

ふとしたはずみで人に強い口調で何かを要求してしまうことがあるものです。そのようなときでも、被害者が警察に被害届を出せば、捜査が開始されて逮捕に至る可能性があります。

刑事裁判になったら、一生消えない前科がつくこともあります。そのような不利益を避けるには、どのようにすれば良いのでしょうか?

①すぐに弁護士に相談

まずはすぐに弁護士に相談することが重要です。
ひと言で「脅迫した」と言っても、脅迫罪が成立するのか強要罪となるのかその他の罪になってしまうのかにより、適用される刑罰の内容が大きく異なってきます。
素人では判断がつきにくいことでも、弁護士なら正確に判断できます。

また脅迫罪などの事例では、被害者と示談を成立させることによって処分を軽くしてもらえる場合があります。
加害者本人が示談を進めることには困難を伴いますが、弁護士に依頼すれば客観的な立場から被害者に連絡を入れて、スムーズに示談の話し合いを行うことが可能となります。

さらに弁護士であれば、加害者にとって有利となる各種の事情を拾い出して検察官に提示し、不起訴処分を促すことなども可能です。
このように、弁護士であれば加害者本人にはできない様々な弁護活動ができるので、逮捕された際にはもちろんのこと、逮捕前でも心配なことがあれば、相談してアドバイスを受けておくべきです。

②被害者との早期示談が有効

他人を脅迫してしまったときには、早期に被害者との示談を進めるべきです。
脅迫罪や強要罪の被害者は精神的苦痛を受けるので慰謝料を支払う必要がありますし、恐喝罪で相手からお金を巻き上げていたら、返還の必要もあります。
犯罪を行ったとき、こういった賠償問題について、きちんと話し合いをして民事的に解決できていたら、加害者にとって非常に良い情状となります。
脅迫罪、強要罪で逮捕されても、起訴前に示談ができれば不起訴にしてもらえる可能性が非常に高くなります。
不起訴処分になれば、刑事裁判が開かれないので前科がつくこともありません。

ただし、不起訴処分を獲得するには、検察官が起訴か不起訴かの処分決定をする前に示談しなければなりません。
逮捕されてから処分決定までには23日程度しかないので(勾留されて身柄拘束される事件の場合)、間に合わせるためには早急に被害者との話し合いを開始する必要があります。

そのため、逮捕直後に私選弁護人を選任し被害者に連絡を入れて、示談交渉に着手してもらうべきです。

4、脅迫の場合の示談金の相場

脅迫行為をした場合、被害者にはどのくらいの示談金を支払えば良いのでしょうか?
脅迫の場合、行為の悪質性によって示談金額が大きく変わってきます。

単に個人のトラブルで「訴えるぞ」「不倫をばらすぞ」などと脅しただけの場合には慰謝料は安くなるでしょう。
これに対し、組織が個人に対して脅迫行為をするなど力関係があり、「子どもを殺す」「家を燃やす」などと何度も告げ、執拗(しつよう)に脅迫した場合など悪質なケースでは慰謝料も高額になります。

また、脅迫では済まず何らかの行為を強要した場合には強要罪が成立するので慰謝料がより高額になりますし、加害者に資産があったり収入や社会的地位が高かったりすると、やはり慰謝料が上がります。

さらに金品を巻き上げるなどして恐喝罪や強盗罪が成立する場合には、慰謝料だけではなく巻き上げた金品の返還も必要になるので、示談金がより高額になります。
示談金の妥当な金額を知りたい場合には、弁護士までご相談ください。

5、脅迫で前科をつけたくないなら弁護士へ

人間、ふとしたはずみで脅迫的な言動をとってしまうことはあります。
しかしそのようなときでも、被害者が被害届を出せば、捜査が開始されて逮捕される可能性があります。

脅迫罪で逮捕されたとき、前科をつけたくないのであれば早急に弁護士を刑事弁護人として選任し、被害者との示談交渉などを進めましょう。
いったん逮捕されてしまったら、処分決定まで猶予はありません。オリエンタル法律事務所の弁護士がお助けいたしますので、すぐにご連絡ください。

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