職業紹介事業者が、「就職お祝い金」などの名目で求職者に金銭等を提供して求職の申し込みの勧奨を行うことを禁止されました。
(有料職業紹介業の)指針において、職業紹介事業者が求職者に金銭等を提供することにより求職の申込みを勧奨することは好ましくないとしているところ、職業紹介事業者が「お祝い金」その他これに類する名目で求職者に社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭等を提供することにより求職の申込みの勧奨を行ってはならないこととする。
本来の「お祝い金」とはハローワークで受けられる「再就職手当」のことでした。これは再就職を促すことを目的に、雇用保険受給の資格がある失業者が早期に安定した職業、事業を開始した場合に国が支給する仕組みでした。
そこから、職業紹介事業者が、再就職手当を真似て、求職者からの応募を増やすために「お祝い金」を制度化し、民間企業や派遣業者の求人に応募し、採用が決まった際に支給される手当の支払いが主流になりました。
職業紹介事業者は人材を紹介し、雇用契約が結ばれた段階で求人者から紹介手数料を得ることで成り立っています。
紹介手数料の相場は転職者の年収の20~30%と言われています。そして職業紹介事業者の「お祝い金」はその紹介手数料からまかなわれていることがほとんどです。
職業紹介事業者が、自ら紹介した就職者に対し転職したらお祝い金を提供するなどと持ちかけて転職を勧奨し、繰り返し手数料収入を得ようとする事例があり、このような行為が、労働市場における需給調整機能を歪め、労働者の雇用の安定を阻害する行為となると考えられるようになりました。
そこで、今回の改正によって、「お祝い金」その他これに類する名目で、求職者に社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭などを提供することで求職の申し込みの勧奨を行えないことになりました。
上記のとおり、「社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭等を提供することにより求職の申込みの勧奨を行ってはならない」となっているため、社会通念上相当と認められる程度を超えない程度の範囲であれば問題ありません。
そこで、「社会通念上相当と認められる程度」が問題となります。
従来、職業紹介会社は、「就職お祝い金3万円支給」などと求人広告のキャッチコピーにしていましたが、このような記載は当然厳禁になります。それでは5000円程度であれば可能とも思えますが、これも認められません。
今回の法改正によって、職業紹介会社から求職者に対して支払いが認められる金額の範囲は、あくまで求職者が今回の採用過程で実際に支出した交通費程度になります。
また、交通費は求職者ごとに支出額が異なるのが当然ですので、職業紹介会社から一律に求職者に対して金銭を支払うことは認められていません。
個別具体的に求職者ごとに交通費相当額を支給していくしかありません。
職業安定法に基づく指針の一部の改正によって,求人者及び求職者から信頼される有料紹介会社を目指すべく,法に沿った運用が求められます。
オリエンタル法律事務所では改正に関する手続きに関して,効果的かつ合理的な開催に努めておりますので,一度ご相談いただけますと幸いです。
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