本件相談は、会社内に設置された内部通報窓口に、匿名で支店内のパワハラを告発する内容の電話があり、その対応について会社からご相談をいただいた事例です。当社は、以前、匿名で行われたハラスメントの通報について、ハラスメントの通報を受けてからの流れの適切な構築運用がなされておらず、漏洩してしまうという事故がありました。
内部通報窓口に寄せられた情報の秘密保持性を重視しながら、全従業員に対して匿名可能なアンケートの回答を実施しました。アンケート結果を確認したところ、内部通報でパワハラ行為等を行っていた加害社員を特定することができました。そのうえ、アンケート結果から、その加害社員には、内部通報で告発された行為以外にも多数の問題行為があったことが明らかになりました。
内部通報窓口に通報された情報であるため、徹底した秘密保持が要求されます。通報内容の漏洩が発生すると、従業員の内部通報制度への信頼を失う恐れがあります。そこで、調査の実施が内部通報をきっかけとするものであることも秘密とする必要がありますのでご注意ください。この点、調査の端緒が内部通報であることを関係者に認識させないよう、①定期監査と合わせて調査を行う、②抜き打ちの監査を装う、③該当部署以外の部署にもダミーの調査を行う、④核心部分ではなく周辺部分から調査を開始する、⑤組織内のコンプライアンスの状況に関する匿名のアンケートなどの工夫を講じるべきであると定められています。
また、加害社員および関係者と面談を行うにあたっては、その結果を証拠化するということを意識しながら進める必要がありますが、①談対象者本人の評価ではなく、事実関係を聴き取ることに注力すること、②事実関係として、ハラスメント行為の日時、場所、登場人物、発言や行為内容、目撃状況などを詳細に聴き取ること、③事実関係を裏付けるメモ、メールやLINEのやり取り等の記録があるか確認する、④聴取内容を会社が書面にまとめ、本人に確認してもらい、署名・捺印をもらうことなどが重要です。
実績一覧名称 | オリエンタル法律事務所 | ||||
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弁護士 | 佐野太一朗 | ||||
連絡先 |
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所在地 | 〒106-0032 東京都港区六本木4-10-7 エルビル5階 Googlemap |
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アクセス | 六本木駅 6番出口徒歩1分 |